演奏家のススメ3 仕事と趣味

3.仕事と趣味


音楽が仕事の人と趣味になる人の違いはなんだろうか?


専門機関を卒業した者でも仕事にせずに趣味で続ける人もいる。

技術を得る過程では多くの気付きやそれによってもたらされる喜びがあるが、技術があるからと言って音楽で仕事が出来るわけでもない。

また、音楽の仕事をするのが人生の全てでもないだろう。


本来、必要な技術とは、表現(訴えかける力)の為の技術である。


一年程前だったか、趣味で楽器を続ける方で相当お上手で感性豊かに演奏される方を見かけた事があった。


プロ活動されたら良いのにと勝手ながらに思っていたが、その方から今が一番楽しいと言われた事がある。

音楽院を首席で出ているのも頷ける程の腕前なのだが、趣味で続けるという選択に悔いもなくその方が嬉しそうにしている姿を見てるとこちらも嬉しくなったものだ。


以前から音楽家とはなんなのだろうかと疑問を抱き続けていたが、とあるサックス吹きからその疑問に対しての答えをいただいた。


「音楽家というのは生き方だ」と


確かに誰がどう言おうが音楽に人生を捧げた人のそれを否定するものではない。

その言葉を言ったのは何十人もの部下を持つオーナーである。


彼は紛れもなく音楽家としての人生を歩み、音楽をしている。


音楽というのは兎にも角にも自由なのだ。

誰しもがそれに触れる事が出来る。


この世の物理法則を変化させない限り存在し続ける音

その音を整理し楽音として発展させていき、記譜という情報化した人類の聴覚の歴史は凄まじいものだ。


音楽という存在を仕事や趣味という枠に当てはめようとするなんて、なんてつまらない事なのだと今になってわかったとその時何やら恥ずかしい気持ちになったのを覚えている。


音楽を仕事として扱っていたとしても、いつしかそれが生き方なのだと思う瞬間があるかもしれない。

藝大のとある先生が私は世界中60億人の中で一番私がヴァイオリンを好きなんだと豪語していた。


他の人がその方に職業を尋ねたら勿論ヴァイオリニストと答えるだろう。

ただその方曰く、好き過ぎて仕事をしているという実感はないのだそうだ。


音楽という仕事はない。

そして、何事においても趣味であれ突き抜ければお金になる。


藪から棒に趣味や仕事の枠に当てはめようとする人がいるが貴方が音楽家であれば只々音楽をやっているのだと言えばいい。

Life of music

多くの芸術家がより芸術に没頭し、その経験や感性が社会に還元される事を出来るように微力ながらもやっていきたいと思います。

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